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グルメ

たなきんです。いつものように長文です。

大阪支店の営業マンの運転で大阪と京都のクライアントを巡り、京都駅の近くで日が暮れた。「田中さんは京都通ですよね。だったら美味い店でメシ食いましょう。」と営業車を運転しながら後輩社員がねだって来る。営業マンにしては口数が少なく、押し出しが弱い彼がいきなり切り出してきたので、少したじろいだ。

その頃は、京都の寺社巡りを始めて二十年は経っており、自動制御の会社に勤務していたので社内報へ祇園祭の山鉾の方向制御について投稿したこともある。鉾の車輪の前にくさび形の「かぶらでこ」を噛み込ませると、車輪がそこに乗り上げる。乗り上げた分だけそちら側の車輪は空回りと同じ状態になって、左右の車輪の移動距離が違ってくる。そこで鉾の進行方向が「かぶらでこ」をかました部分を内側にして曲がるという仕組みである。もっとも進行方向は微調整しかできない。また社内報なので数式は書かなかかったが、イラスト入りで面白く説明したことを覚えている。

そんなことを書いたので、職場では私の京都好きを知らぬ者はおらず、京都の現地のその店だけで販売している珍しい和菓子を職場に土産として買って来ることもあった。もっとも貴重なお菓子は素人俗人には不評で、残念ながら「おたべ」が定番のお土産になっていた。 また、寺社仏閣を巡るためには、大阪で月曜日に会議があれば金曜の夜から京都に前泊し、名古屋で金曜日に客先訪問があれば金曜の夜は京都で夕食を摂っているという具合だ。もしも日程の決定権があれば箱根の向こう側の出張は金曜日か月曜日にしていたので、病膏肓に至る状態であった。

さて、話を夕闇が迫る京都駅近くの営業車の中に戻そう。京都で美味い晩御飯を食べる話であった。今でこそネットには 「食べログ」とか「ぐるナビ 」というレストランガイドの便利な仕組みがある。しかし、当時はガイドブックか地元の方の口コミに頼るしかなかった。そしてガイドブックに載る店は観光客を相手にした高い店ばかりである。

私の案内に従って営業車は京都駅前の塩小路通を鴨川の方向に進み、河原町通りを右折南進したすぐの駐車場に駐車、向かったのはたかばしの新福菜館本店であった。そこでおきまりのメニュー「中華そばとヤキメシ」を食べた。真っ黒けスープは見かけより味は濃くなく、ストレート麺の独特な歯応え、なんの変哲もないヤキメシがほっとするのだ。食べたあとすぐに解散。彼は営業車で大阪支店に戻り、私は新幹線で帰宅したのであった。彼の感想は敢えて尋ねなかったが、がっかりしたに違いない。

いくら京都が好きといっても、家族持ちのしがないサラリーマンが贅沢できる筈がない。出張ついでに立ち寄ることができず、自腹で上洛する場合はもっぱら深夜バスであった。その深夜バスの料金は、今調べると横浜・京都間で2000円!からあるが、当時は3列リクライニングシートで五千円くらいだっただろうか。その深夜バスが京都駅前に到着するのが朝の6時半ごろなので、朝食は決まって京都駅近にある新福菜館本館の中華そばとヤキメシであった。早朝にも拘わらず、半分閉まったシャッターを開けると店内には「肉皿」とビールで出来上がったおそらく夜勤明けのおじさんとかで賑わっていた。(最近の開店時刻は午前9時のようです)

朝食が新福菜館なら、ランチとディナーは「餃子の王将」に決まっていた。なんてことはない、「京都に詳しい」のは寺社仏閣だけで、お食事部門の知識は皆無に近かったのである。正確に書くと、下鴨茶寮、瓢亭、菊乃井、祇園丸山、和久傳、京都吉兆などの場所はだいたい知っているが、入った経験は今でもない。何しろ、あのイノダコーヒ本店でもケーキを食べたのはほんの二、三回なのである。さらに自慢ではないが、円山公園の平野家「いもぼう」は高くて今でも食べたことがない。加えて鳥居本の平野屋で鮎の値段を聞いて店を出てきたくらいである。

やはり、「餃子の王将」に入り、「コーテルイーガー、ヤナギ、クールーロー」という店員さんのオーダーを通す声を聞くとほっとするのである。そういえば、四条大宮の「餃子の王将」本店がビルになる前、私の子供が小学生の頃、その二階席の小上がりで家族で夕食を摂った。恥ずかしながら家族旅行でも「餃子の王将」なのであるが、京都から戻って子供に京都で一番印象に残ったことを尋ねたら、「餃子の王将の二階で聞いた女子高校生の京都弁」という素直な答えが返ってきてギャフンとした覚えがある。

その後、子供も独立したので少しは余裕ができて、美味しい店を巡ることができるようになった。

あんな店

こんな店がよろしいですぞ。

タナキン

北山ユース開所366日目から宿泊して、皆さまに育てられた大昔のホステラーです。 京都の寺社仏閣の全数踏破を終え、次に季節毎の拝観を実施中。

10件のコメント

  1. 北山YHの晩年、夕食提供無しの時北大路駅近くの相原ビルの「とれびあん」で食べて🍴(飲んで🍺)北1🚌でユースに向かいました。送り火を観たあと、皆と☕️(一部の人は🍺😁)タイムに利用しました。現在はランチ時間のみの営業のようです。😔

    1. kazuさんには、京都のいろいろなところやノウハウを教えていただきました。ありがとうございます。

      でも「とれびあん」は縁がなかったなあ。

  2. 今秋最後の連休、京都はオーバーツーリズムが問題になっています。市民生活に大きな影響が出ているようです。関西TV各社のローカル報道では、紅葉名所の混雑ぶりで、市バスの運行に支障が出ているようです。加えて民泊の増殖による近隣住民の苦情の多発などです。このままでは、バルセロナのようにツーリスト ゴー ホームの叫びになるやも。そうだ 京都へ も終わりにしなければならないか。     とかく世間は、バブルもようです。NHKの”宝めし”なる長時間番組など、100人の'物言い'を集めて、各地の名物料理を競い合い、回転寿司にも勝るpresenntationを繰り出して、どういう予算、企画だろうと思う。   各リーグの戦勝パレードにも思わぬくらいの人出、どうかしとるぜ、日本人。ブラックフライデイにも乗せられるな、日本人。

  3. 観光地が耐えられる以上の観光客が押し寄せる状態を、オーバーツーリズムと言うのですね。
    データを確認してみると、平成7年に3544万人だった京都の観光客数が平成26年から5500万人超えです。まあ、20年前の1.6倍ということです。イタリアやスペインには入場料や宿泊税をとる観光都市があります。観光バスが街の入口で止まって支払うのですね。公共施設の充実にはこのような費用徴収の仕組みがありますので、トイレとか案内看板などのインフラを充実することが期待できます。(文末の参考資料によれば、平成30年10月から京都は宿泊税を導入済みです。)
    しかし、寺社仏閣の収容人数とか面積はこれ以上増やせませんので、金閣や清水寺、苔寺のように一方通行トコロテン方式にして滞在時間を短縮するか、人数制限するしかありません。例えばミラノの「最後の晩餐」はネット予約制で、滞在時間も決められています。また、桂離宮、修学院離宮や仙洞御所など宮内庁管理の旧蹟は既に予約制、入替制になっています。(一部当日売りあり)

    まずは京都の寺社仏閣の規模が海外のそれと比較して小さいので、日本政府や京都府が期待する今後の客数は期待できないと言う認識を持つことです。ピークシーズンの東福寺駅に向かう電車はすし詰めで、永観堂などライトアップの入れ替え時には前の道まで客があふれています。ギューギュー詰めにすると京都の評判が落ちます。

    それでも、入場制限(予約制と滞在時間限定)、観光客のハケの工夫(一方通行)が割合簡単にできるので検討を望みます。銀閣寺とか龍安寺、天龍寺は簡単に一方通行にできそう。竹林や渡月橋もだな。伏見稲荷の千本鳥居はほとんど二本の道になっているので頑張りたい。

    なお、鞍馬の火祭りに行ってみるとこの入場制限と一方通行の作戦を本当に実感できます。当日の鞍馬は自家用車乗り入れが禁止されていて、鞍馬電鉄が唯一のアクセス手段で、この電車が夕方から超満員なので実質的な入場制限になっています。また、現地に行くと谷間の一本しかない街の通りは昇りの一方通行で、途中まで行くと折れて、町裏の谷川を渡り、畑の中のあぜ道が下りの通路になっていて、出てくると駅前で、電車に乗って帰るか、そのまま鞍馬駅の手前の貴船口駅に続く道を降ることになります。(その道の途中が火祭りパレードの最終集合地である由岐神社なのでそこでたむろするのもありですけど。)

     

    データは

    https://www.fttsus.jp/spring2018/wp-content/uploads/2018/03/11_1_Makizawa.pdf

  4. 以下は、京都新聞2018年11月28日版からの引用です。

    https://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20181127000134

    京都市に立地する宿泊施設の客室が今後2年間で5万室を上回る見込みであることが、京都新聞社の試算で分かった。既存施設の関係者からは、宿泊客の獲得競争は既に激化しており、料金や稼働率が低下したとの声も聞かれる。中でも簡易宿所は、市の条例で「トラブル時の駆け付け対応」が義務づけられ、コスト増が見込まれることから、経営が厳しさを増すとの見方がある。

     「ホテルの宿泊料金が全体的に下がっていると感じる」

     南区で営業するホテルの担当者は、近隣の宿泊施設の市場動向をそう分析する。JR京都駅から近く、交通の便が良い同区ではホテルの進出が相次いでおり、本年度以降の客室増加数は市内の行政区別で下京区の次に多い。

     観光庁の宿泊旅行統計調査によると、京都府内にある宿泊施設(シティーホテルやビジネスホテル、旅館、簡易宿所など)の2017年の客室稼働率は前年比2・4ポイント減の64・9%だった。訪日客の拡大で延べ宿泊者数は同7・2%増えただけに、客室の需給にゆとりが生まれつつあることをうかがわせる。

     ゲストハウスなど簡易宿所の経営者からは、より切実な声が聞かれる。市内で約50棟を営む会社の役員は「以前は全施設で稼働率が70%を超えていたが、現在は70%も稼働しない施設や、90%以上毎月稼働する施設など、施設によって差が出ている。昨年と比べて予約の入り方も遅くなり、近隣施設の単価も下がってきている」と漏らす。市内で営業する簡易宿所の客室数は14年度末の時点で2929室だったが、17年度末には9247室と3倍以上に増えており、「繁忙期以外は需要より供給が多い印象だ」という。

     とどまるところを知らないホテルの建設ラッシュに加え、簡易宿所にとってさらなる逆風となるのが、駆け付け要件の適用だ。市の旅館業適正化条例が改正されたことに伴い、近隣トラブルに備えて施設の半径800メートル以内に管理者を置くことが義務づけられる。既存事業者は20年3月まで適用が猶予されるが、経営の圧迫要因になることは必至だ。役員は「宿泊から手を引く事業者も出ており、売り物件も多く出回っている。特徴のある施設やサービスで差異化しないと淘汰(とうた)される」と危機感を強める。

     「お宿バブル」の影響は、過当競争にとどまらず、さまざまなひずみを生み出している。南区のホテル担当者は「(観光客の増加で)市内のインフラは既にパンク状態。ホテルが人々の生活や文化を壊していく側面もある。インバウンド(訪日客)誘致で日本人の観光客離れも出てきている」と警鐘を鳴らす。

  5. tanakinさんの詳細な京都観光事情の現況報告、ありがとう。今、深刻に考えなければならないのは、宗教施設から課税すべしということではないか?消費税の2%どうこうや,還元するやしない、の些細な問題を論じるより早急に儲けている法人より課税すれば一挙に解決するはずである。公明党に理を尽くして説得して課税する方向に議論すべきである。行列のできる入口で、千円札がみるみる積みあがっていく様を見るにつけ、ゴーンさんの不当利得にニュース番組の大半の時間をさいているより、はるかに本筋であろうと思う。

  6. たなきんです。とうさんの投稿に短くお応えします。

    宗教法人への課税については不勉強なので何も書けませんが、話題のタネとして京都のお寺の年間拝観料推定総額を計算してみます。

    古い資料ですが2007年の京都訪問者の訪問先割合は下記の通りで、その資料によると数年間の順位は変わっていないので今でもそんなものだと推定されます。(一次データがリンク切れなのでまあ、大体のところということで、これに2016年度の京都訪問客数5522万人と拝観料(大人)を掛けると

    1.清水寺 21.2% 拝観料400円    ●年間収入 47億円
    2.金閣寺12.0% 拝観料400円    ●年間収入 27億円
    3.嵐山 15.9%  なし
    4.銀閣寺 9.7%  拝観料500円    ●年間収入 27億円
    5.南禅寺 9.5% (有料の場所は三ヶ所あって、無料地域だけで楽しめる)

    まあ、清水50億円、金閣銀閣が30億円の規模ということで、法人所得税、固定資産税が原則としてかからないので、私の投稿にあるようにこの三寺は行くたびにお堂が増え、庭木の整備が進みます。

    ちなみに京都の宿泊税の年間税収見込みは約47億円です。
    http://www.city.kyoto.lg.jp/gyozai/page/0000236942.html

    以上

  7. たなきんです。またまた京都新聞に新たな情報が出ましたので、お知らせします。

    京都は混雑していて宿が取れないという認識が日本国内に広まり、外国人宿泊者増でも追いつかなくなって、国内外合計でも宿泊者数が減少しています。

    「日本人の「京都離れ」?宿泊客減少歯止めかからず 外国人客増加で混雑を敬遠か」

    https://www.kyoto-np.co.jp/economy/article/20190303000102

    「京都の主要ホテルにおける日本人宿泊客の減少は長期的な傾向だ。15年が4・0%減、16年が3・8%減、17年が4・8%減で、同期間に34・7~3・5%増だった外国人客と対照的な動きを示している。」とか

    「18年の主要ホテルの外国人宿泊客は5・3%増の122万9030人。日本人客と合わせた総数は4・4%減の329万1745人だった。」

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