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清水寺

たなきんです。いつものように長文です。

清水寺と言えば、読者諸兄各位には説明不要であろう。奥の院や子安塔からの眺望は春夏秋冬を問わず、京都ならず日本を代表する景色である。春の桜、西山に落ちる夕日、秋の紅葉、そして冬の雪、どれもこれも皆さんの脳裏に刻んであるのではないか。そして本堂の舞台だけでなく、地主神社、音羽の滝、少し歴史に詳しい方なら忠僕茶屋やアテルイ・モレの碑なども思い起こされるのではないだろうか。

先日、関西ABCテレビで「歴史街道スペシャル」という番組が放映され、そこでは京都にある西国三十三ヶ所巡りの札所の中から六角堂や寺町通の皮堂、六波羅蜜寺などを紹介しており、その締め括りが清水寺であった。ちなみにこの番組は関西で放送されていて筆者の住まう関東では電波が届かないのであるが、Tverというインターネットの無料サービスで期間限定ではあるが放送を楽しむことができるのである。

さて、番組の中で紹介されていたのは胎内巡りで有名な隋求堂に祀られている大隋求菩薩坐像で、これは秘仏中の秘仏であって、今年222年ぶりにこの場所でご開帳されるというナレーションがあった。大隋求菩薩は観音菩薩の化身であり信者の「求め」に「随う」、つまり願い事を叶える霊験あらたかな菩薩様ということである。

この222年振りということは、前回は1796年、寛政八年ということになる。寛政という元号は大飢饉で有名な天明のあとであって、三条京阪に大きな像がある高山彦九郎がなくなったのは寛政九年、まあ、大政奉還の数十年前なので我々には想像がつかない大昔ということになる。このご開帳は、とても有難いことなので万障繰り合わせて上洛拝観しなければ、末代まで悔いの残ることになる。

ところが、この秘仏公開というのが、仏罰を恐れずに書いてしまうと「秘仏商法」と名付けたくなる集客戦略であって、うまくできている。例えば私の記憶が確かなら、清水寺の御本尊のご開帳は33年毎で、前回は西暦2000年であった。御本尊の御手から五色の綱が繋がれていて、清水の舞台を背中にしてその綱を握りご縁を感じ、じっと手を合わせた記憶がある。

この33年毎というのがまずクセもので、実は2000年の開帳のあと、2021年にも開帳している。資料によると「本来は、33年に一度しか御開帳は行われませんが、この度は西国三十三所観音霊場巡りを中興された花山法皇様の一千年大遠忌にあたる平成二十年に、三十三所の観音霊場がこぞって、御慶賛の秘仏御本尊を御開帳することになりましたので、清水寺でも他の霊場とともに、今回、特別に御開帳することとなり、上記の期間中御開帳なされてます。」とある。

また、清水寺を開いた坂上田村麻呂公の開帳は100年ごとで、こちらは機会を外して臍を噬んだ。さらに本堂の御本尊とは別に、奥の院にも御本尊があってこちらは2003年に243年振りにご開帳という記録がある。開山堂は2006年に江戸時代から初めての公開という触込みに誘われて拝観したが建物そのものが1633年の再建で2006年に修繕したので公開されたのである。そのため妙に新築のような明るさを感じたものである。また、どんな仏像だったのかとっくにお名前を失念したが200年だか300年振りの秘仏公開ということで足を向けたこともあった。

もうお気付きの方もおられると思うが、前述のように「ご開帳」はある意味で集客キャンペーンなのである。創業何周年記念という滅多にない機会や、御中元セールや歳末の大バーゲン、春のパン祭りなど季節にちなんだものがあるが、要は集客のための理屈作りなのである。

その証拠をある放送で聞いたことがある。東京放送(TBS)のラジオ番組で永六輔氏が清水寺のお坊さんに伺った話として、「1200年以上も歴史があるお寺なので庫裏(倉庫)を開けると続々と仏像が出てくる。それらは普段は公開されていないので開帳するとなるとどれもこれも二百年振りとか、三百年振りになる。」というのを記憶している。

私のような軽佻浮薄分子は、ご開帳という言葉を聞くと、三里に灸を据え、はや心は箱根の関を越えて「なぜにあなたは京都に行くの」ということになるのである。

また、ご開帳と同じく三十三ヶ所巡りというのも、その縁起は全箇所を巡ると閻魔大王の前で減刑されるというものであったとの伝承があるが、現代のスタンプラリーやポイント制の元祖とも言えるものであり、仏罰を恐れずに言えばマーケティング戦略の一つであると言えよう。

また、「伊勢屋、稲荷に、犬の糞」と言われるように全国どこにでもある代表の一つに稲荷神社があるが、それぞれのお稲荷さんに神主がおられるワケでもなく、個人が鳥居とオヤシロを購入して自宅の庭や社屋ビルの屋上に建立する仕組みは、フランチャイズチェーンの元祖とも言われている。つまり伏見稲荷大社が自分の資本と人材を使って全国に支店網を作るより、現地の資本で支社支店を作った方が早いしリスクも少ないのである。

振り返ってみると、1300年の歴史を誇る京都は「販売キャンペーン」「ポイント制」「フランチャイズ制」など、現代に通じるマーケティングの元祖本家家元でもあったのである。

タナキン

北山ユース開所366日目から宿泊して、皆さまに育てられた大昔のホステラーです。 京都の寺社仏閣の全数踏破を終え、次に季節毎の拝観を実施中。

1件のコメント

  1. たなきんです。私の投稿を裏付けしたように清水寺で秘宝の公開が始まりました。

    「白衣観音図259年ぶり一般公開」  京都新聞平成30年4月28日版より引用

    「京都市東山区の清水寺の霊宝展が、境内の経堂(重要文化財)で開かれている。江戸時代中期の1760年以来259年ぶりの一般公開となる「白衣(びゃくえ)観音図」など13点が展観されている。

     日本最古の観音霊場巡礼の「西国三十三所」草創1300年記念事業の一環で、初めて企画した。白衣観音図は、後水尾天皇の第8皇女で修学院に林丘寺を開いた林丘寺宮照山元瑶筆。優美な筆致で描かれた観音像で、天皇代替わりに合わせ、皇室にゆかりの深い作品として展示した。

     同寺本尊の秘仏、十一面千手観音立像を描いた縦約3メートルの「清水型本尊千手観音図」、書物やブドウなど千手観音の持物ばかり40種類を描いた軸など千手観音ゆかりの作品もあり、清水寺に対する信仰の一端を垣間見ることができる。」

    https://www.kyoto-np.co.jp/sightseeing/article/20190428000030?fbclid=IwAR2HgSD-t9Se_yqcmkGCxHKjuZVopigCvtau88f6mF1FKDzDcy9dgc8XbRI

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