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出町柳の餃子の王将

たなきんです。いつもと違って短い文章です。

昭和の大歌人である斎藤茂吉の次男、北杜夫は「ドクトルまんぼう」シリーズで有名であるが、初期の「幽霊」や芥川賞を受賞した「夜と霧の隅で」は極めて文学性が高い作品である。その彼が一番影響を受けたのは、トーマス・マンであり、海外旅行が困難な時代に彼の母国ドイツに行きたいがために水産庁の漁業調査船に乗り込んだ。また彼の大作「楡家の人々」はトーマス・マンの「ブッデンブローク家の人々」をオマージュしたものである。

彼の随筆によると、トーマス・マンを熱愛するがあまりにその文学作品だけでなく、彼に関する情報を集め、とにかく本屋で「トーマス」という文字を見つけるとその本や雑誌を手に取るというクセがついてしまったという。そして、ある日に彼が街を歩いていたら何故かギクリとして立ち止まってしまった。そして四方を見回して見つけた文字は「トマト・ソース」であったという。病膏肓というが、好きになるとはそういうものである。

さて、翻って小生は、京都好きが昂じて京都の寺社仏閣・高楼公園・墳墓御陵・遺跡石碑・料亭菓舗・文化施設そしてラーメン店まで巡り幾星霜を経ているが、汲めども尽きない深山の泉のように上洛の思いは募るばかりである。とうとう昨年は6回も京都駅に降り立つことになってしまったが、在宅時にはAmazonのサイトを開き「京都」の付く本を片っ端から検索して、読みたければ近所の図書館で借り、古書であればヤフオクで落札したりと、望京の念が増すのである。

但し、白川書院の「月刊京都」を定期購読するまでは至らず、毎年発行の光村推古書院の「京都手帖」(それも京都でしか入手できない京都限定版)を手に入れては溜め息をついているのである。なお、京都新聞のウエブサイト(無料版)はチェックに怠りなく、Facebookでは「京都新店情報」や「京都の秘密」、「京都のここが好き」などのグループに入って最新情報の収集に余念がないのである。

その中で2020年のニュースであるが、「皿洗いで飯代無料」で有名な出町柳の王将の店主が70歳の定年で店を閉じることになったという話があった。閉店前にそこの店に行けず残念と思っていたところ、その元店主がコロナ明けの今年3月3日に升形商店街の中に別の店「いのうえの餃子」を立ち上げるとのこと。もちろん「皿洗いで飯代無料」の看板はそのままである。

出町柳と言えば、豆大福のふたば、漬け物の野呂本店、鯖寿司の満寿形屋、さらに今はなき名店「桜田」の弟子が開いた会席料理「弧玖」などが有名で、最近になって「旧三井家下鴨別邸」が公開されるようになって人気が出てきた。

なにはともあれ、次回は桜の季節に出町柳まで出て「いのうえの餃子」を食べてみようと思うのである。

タナキン

北山ユース開所366日目から宿泊して、皆さまに育てられた大昔のホステラーです。 京都の寺社仏閣の全数踏破を終え、次に季節毎の拝観を実施中。

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