Sorry. Our site is only Japanese!
Not accessible from overseas!


Home > その他 > 修学旅行

修学旅行

たなきんです。いつものように長文です。

幼い頃の記憶にある絵本の一頁、東海道本線超特急「つばめ」号の最後尾にある展望車のイラストがあった。最後尾のデッキ部分には壁がなく、腰の高さの金属製のサクがついたベランダ風になっていて、大きな「つばめ」の文字と二羽の燕が描かれた丸いマークがついている。そして全線が電化されていないこの頃の東京神戸間の所要時間は8時間37分であった。当時は1日に5本しか運行されていなかったことを考えると隔日の感がある。

その東海道本線の全電化は昭和35年で、その年に日本初のボンネット型車両が牽引するビジネス特急「こだま」が東京大阪間を6時間半で結び、当時は東京大阪を日帰りできるというキャッチコピーでデスクライトの付いた車両もあった。

さて、読者諸兄の中に修学旅行専用列車「ひので号」に乗車した経験を持つ方はおられるだろうか。調べてみると東海道線で昭和34年に初運行、徐々に運行地域を拡大し、昭和39年の東海道新幹線開通を機に運行本数は減らされたが、それでも平成15年まで使われていたようだ。初号機は品川駅と京都駅間を結んだというから関東地方の学校では京都が行き先の定番だったのであろう。

私が初めて東海道新幹線に乗ったのは高校二年の京都奈良の修学旅行の時で、東京駅から乗り込み、滑るように走り出す快適さと車窓から望む風景の展開の速さに驚き、かつ笑顔になったものである。当時の列車は先頭の機関車だけが動力を持っていて、客車には動力が付いていない。そのため、走り出す時と停止する時には車両間をつなぐ連結器がガチャンと大きな音を立てて、急な加速度を感じたものであった。ところが新幹線は全ての車両にモータが付いているので走り出しが滑らかなのである。

ご存知のように1964年の東京オリンピックの開催月の初日に東海道新幹線は開通しており、その数年前から、我々が読む子供向け雑誌に「夢の超特急」として「夢」のような話が流線型の電車のイラストと一緒に語られていた。例えば、スピードが早いので危険防止のために窓のガラスは開けることができませんとか、安全対策のために踏切は一切ありませんとか、速度を上げるために線路の幅を広げましたとか、今となっては日本人の常識とも言える知識を未来として語っていて懐かしく感じるのだ。

そして巡る先も京都では清水寺、金閣、銀閣、竜安寺、平安神宮、東寺、そして苔寺であった。

ちなみに、私の高校には夜の東山バスツアーがあって、将軍家から夜の京都の灯りを眺めると唐の長安に倣った条里制を自分の目で確かめることができた。但し、宿の夕食で出た水炊きを食べ過ぎて、東山に登るバスの中で非常に苦しかったことの記憶の方がまだ生々しく残っている。その宿は河原町通りから徒歩10分くらいの三条通りに面した日昇別荘で、今でも当時のままの姿で営業している。イノダコーヒに向かう時など、たまたまこの旅館の前を通り過ぎる度に、何か苦々しさを感じるのである。

ここで、とても脱線するが、この宿で深夜に寝ている友人の顔の半分をマジックで黒く塗ろうとして、懐中電灯とマジック、さらに目隠しの板まで用意したが、実際に塗ろうとするとおかしくてたまらず、共犯の友人と顔を布団に埋めて笑いを堪えるのが大変で、結局は口髭と眉毛の間を塗るだけが精一杯だった。翌朝どうなったかは読者の想像に任せたい。なお、この悪戯は深夜放送のナチ・チャコのパックインミュージックで誰かが投稿していたので、それを真似たのだ。恐らく当時の京都の人は観光バスの窓越しに右か左の半分だけ黒く塗った顔の高校生をたくさん目撃したに違いない。

閑話休題。それから月は満ち欠け星は回り幾星霜。人の親となり子供を京都の修学旅行に送り出すことになり驚いたことがある。子供は新幹線で京都に向かったのだが、前日に荷物を宅急便で宿に送っていたのだ。子供にそんな楽をさせてどうするのかとお嘆きの諸君もおられるだろうが、後になって深い事情を知った。東京駅始発ならともかく、停車時間が2分しかない新横浜駅から乗るには、大きなカバンを持って乗ると乗車に時間がかかってしまい、列車のダイヤに遅れが出るのだそうだ。また、子供たちは事前に列を組んで速やかに乗車する練習を学校でさせられたそうである。

新幹線の客車でトイレのない座席数の多い車両は一両で100席ある。新横浜駅で2分間の120秒停車で東京側と京都側の両方の入り口から入るとして、滞りなくひとり2.4秒ごとに乗り込まねばならない。乗車はともかく、京都駅で下車する時は入れ違いに乗り込む客の分まで考えるとキツイなあと思うのだ。

さて、みなさん、修学旅行はどんな手段で上洛されたのでしょうか。どこの宿に泊まったのでしょうか。ご返事と当時の思い出話をお待ちしております。

 

おまけ:些か古い動画ですが、最後までご覧になると「東京大阪間6時間の夢」が出てくる。

2本目は16分ごろに東海道新幹線が出てきます。

https://www.youtube.com/watch?v=OpyDVbfdf_I

https://www.youtube.com/watch?v=BTFSuU-ldVg

タナキン

北山ユース開所366日目から宿泊して、皆さまに育てられた大昔のホステラーです。 京都の寺社仏閣の全数踏破を終え、次に季節毎の拝観を実施中。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です