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うどん

いつものように長文です。今回は寺社仏閣の話は全く出てきませんので、そこのところヨロシク。

根っからの食いしん坊なので、出張や外出のついでに美味いものを食べることがよくあった。たとえば、東京の地下鉄日比谷線で外出する時は、途中にまだ営業していた築地市場があったので早朝から営業しているラーメン屋「井上」や定食屋「豊ちゃん食堂」などに出向いた。そのうち、職場が移転して築地が徒歩圏内になったので、仕事場の仲間で築地朝食会など主催していた時期もあった。

(「井上」と「豊ちゃん食堂」は廃業している。)

また、大阪に出張すると新大阪駅構内の一番東側にある立ち食いの「浪速そば」で必ずうどんを食べた。昆布出汁の効いた琥珀色のうどんつゆを啜ると関西に到着したという実感がしたのである。なお、当然ながら新幹線の名古屋駅下りホームの「きしめん 住よし」も定番である。

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さて、関西はおうどん、関東は蕎麦という思い込みがある。実際には単なる思い込みで、関東には群馬、埼玉にうどんの有名店が多い。京都にも蕎麦の名店がある。料理は素材の産地との距離に影響されるが、パリ、京都、北京とも海から遠いが故に、創意工夫が重ねられて独特の料理が築かれてきたのであろう。

そして、食材を低温のまま流通させるコールドチェーンの発達や、神経抜きなど活け締め手法の開発により全国どこでも新鮮な魚が得られるようになった。昭和の終わり頃には生簀に魚を入れたまま運ぶトラックを街角で見かけることができたが、今はそんなトラックは生簀料理屋のために僅かに残っているだけである。

脱線が過ぎた。四条通り鴨川東詰めの南座にある「松葉」はにしん蕎麦で有名である。また、京都の「本家尾張屋本店」は創業の歴史を伺うと関東の話を出しにくくなるほどであって、京都にも蕎麦の有名店はあるにはあるのである。それでも東京と比較すると蕎麦屋密度が圧倒的に少ないと思われる。蕎麦の産地を振り返ってみると、北海道、長野県、茨城県、栃木県、福島県と比較的寒い地域に偏りがあるので、歴史的には「関東の蕎麦」というのは正しい感じがするのである。

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一方、小麦は2位福岡県、3位佐賀県、6位滋賀県など全国満遍なく産地があるので「関西のうどん」という説もあながち否定できない。なお、小麦生産量日本一の北海道はうどん用の小麦ではなく、パンに適した強力粉を作る小麦を生産しているようである。

思い返せば、最盛期の築地市場には鰹節専門店は大小で数軒あった。大量に使うので削り節を製造販売している店もあるが、昆布専門の店は「トウコン」一店舗のみであった。アントニオ猪木の「闘魂」ではなく、店名は東京昆布の略である。二間間口の小店舗である。一方、京都の丹波口駅で降りて中央卸売市場の中に入ると大きな昆布専門店がある。大きさは「トウコン」の数倍はある。昆布だけでなく椎茸なども扱う乾物問屋はもちろんあるが、昆布だけを商う店が成り立つのはそれだけの需要があるからである。

http://tohkonn.com

http://www.kyotokonbu.com

また、北前船の時代から北海道の最高級昆布は全て京都に運ばれるという話があるが、日本料理屋の数、密度から考えるとあながち俗説ではないような気がする。京都のうどんは昆布の出汁で決まるのである。ただ、昆布の卸売の店数は北前船の出入りする大阪の方が京都よりはるかに多いようである。

ようやく、京都のうどん屋の話に入ろう。つい最近に食べた京都のうどんは、京都駅八条口から徒歩数分の「殿田」という定食屋のたぬきうどんである。関東と関西の「きつね、たぬき」うどん・そば論争はここでは書かないが、この店のたぬきうどんは、刻んだお揚げが入っていて、どろりとした餡がかかり、擂り下ろし生姜が刺激的であるものの、麺はふにゃふにゃなので唸ってしまうが、これが京都風なのである。いなり寿司やラーメン、カレーライスも出していて看板には「うどん 丼物」とある普通の店なのであるが、この店が侮れないのである。

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祇園花見小路を建仁寺に向かって下り、途中で西に入ると恐らく行列があるので簡単に「祇をん萬屋」に辿り着くことができる。うどんに九条ネギを山盛りにして、おろし生姜を載せただけのネギうどんが評判である。これ、お出汁の丸みを帯びた甘味と九条ネギのシャキシャキ感、生姜の刺激を巧みに組み合わせた逸品で、行列が苦にならなければお勧めである。簡単にできるようでこのメニューを追随する店が出てこないのは、レシピに秘密があり真似できないのであろう。大量のネギのビジュアルに圧倒されるが、実はお出汁が格別なのである。

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「おかる」については書くまでもないが、カレーうどんで有名な祇園の店である。京都の水、お出汁、そしてカレーの組合せ。カレーと出汁は全く干渉しないので、成り立つのだと聞いたことがある。京阪三条の「篠田屋」の名物となった皿盛りは、カレーうどんに載せる餡掛けカレーをご飯にかけた一品であり、これも出汁とカレーの干渉しない組み合わせの賜物なのである。「篠田屋」から1分も掛からない鴨川を望む「えいじ」もカレーうどんが美味い。こちらはレシピに一捻りがあるので、面白い。

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「祇をん萬屋」や「おかる」は店に行って食べるのは良いが、本当は時計の短針が真上を指す頃にお茶屋さんで出前を頼むのが本式らしい。ただ、そのうどんを食べるまでの段取りや出費を考えるとなかなか難しいのである。なお、八坂神社の西門から東山通を少し下ったところにある「味味香」も多言語対応で実に愉快である。

北野天満宮近くにある一本うどんの店「たわらや」は、説明する紙幅が勿体ないが、太い麺に負けないように昆布ではなく、鰹の出汁を使っているのがミソである。関西の方には馴染みが少ないだろうが、横浜家系ラーメンや二郎のような濃いスープにはゴワゴワの太い麺が使われている。細い麺だとスープに負けてしまうのである。逆を言えば、「たわらや」の太い麺を活かすには、ガツンときく鰹節の出汁が必要なのである。(鰹節と書いたがおそらく、鯖節やウルメイワシなど押しの強い材料を使っていると思う)

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なお、「山元麺蔵」は京都で一番人気のうどん店であるが、京都のうどんのカテゴリ、ジャンル、科目に入らないので、ここでは触れない。あんなに腰のあるうどんは京都のうどんではないと確信しているのである。同じ考えで「おめん」も触れないでおく。

また、銀閣寺近く、「中華そばますたに」の近くに伝説のカレーうどん店「しみず」のレシピを受け継いだ「お多やん」という店があるが、未踏である。

タナキン

北山ユース開所366日目から宿泊して、皆さまに育てられた大昔のホステラーです。 京都の寺社仏閣の全数踏破を終え、次に季節毎の拝観を実施中。

2件のコメント

  1. 松葉さんは にしん蕎麦 発祥の店と聞きました。

    尾張屋さんは 元々 お菓子屋さんで 蕎麦屋になったのは 元禄のころだそうだから 江戸で流行ってたのを 取り入れたんじゃないかと 思ってます。

    この前 初めて 鹿ケ谷の日の出うどんで えび天の乗ったカレーうどん 頂きました。美味しかった~。

    やっぱり 京都のうどんは やわやわですよね。

    1. 南座の松葉本店で、にしんそばを二、三回食べた覚えがあります。麵がとてもやわで、湯通しをしてすぐに出てくる立ち食いのうどんを思い出しましたが、にしんはさすがに味濃く滋味あふれるもので、そばつゆが薄い理由がわかります。なお、Wikipediaによれば、北海道にも二百年の歴史があるにしんそばがあって、松葉は京都での発祥の店ということのようです。

      尾張屋の蕎麦の麵はどちらかというと関東風ですので、そねまんさんの推理が当たっている気がします。改めて尾張屋のサイトを確認したところ、現在の当主は女性なのですね。次の代はどうなるのでしょうか。
      https://honke-owariya.co.jp/whatisowariya/

      鹿ヶ谷の日の出うどんは、紅葉の永観堂や哲学の道へ南禅寺から向かう途中にあって、その方面へ行くたびに狙っているのですが、いつも長蛇の行列なのでまだ未食なのは残念です。

      最近、京都でもうまい日本蕎麦を出す店が出てきて面白い傾向だなあと思っております。
      https://retty.me/area/PRE26/ARE657/SUB10904/100001286140/27734260/

       

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